病院からのお知らせ
水分不足になりやすい季節は、脳梗塞にもご注意を
心筋梗塞や動脈硬化など心臓や血管に関する疾患は冬場に発生しやすいイメージがありますが、脳梗塞の発症リスクは暑い時期にも高まる傾向があります。
その理由は、夏場や残暑の時期は汗をかいて水分不足になりやすいためです。脳梗塞は、脳の血管に血栓(血の塊)が詰まって血流が途絶え、脳の組織が壊死していく病気です。発汗によって水分不足になると血液がドロドロになり、血栓ができやすくなるため、暑い時期は脳梗塞への注意が必要なのです。
また、暑い時期はからだの熱を放出しようとして血管が拡張しやすくなり、これによって血流がゆっくりになることも血栓の発生につながります。
脳梗塞の3大タイプ
- ラクナ梗塞
脳の細い血管に動脈硬化が起こって詰まることで起こる - アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い血管に血栓ができて詰まることで起こる
(アテロームとは、血液中のコレステロールなどが血管壁に入り込んでできた粥状の塊のこと) - 心原生脳塞栓症
心臓の血管内にできた血栓が脳に飛んで詰まることで起こる

3つのタイプのうち、暑い時期に多くなるのはラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞です。
暑い時期は次のような点に気をつけることが、脳梗塞の予防につながります。
暑い時期の脳梗塞予防のポイント
暑い時期の脳梗塞対策は水分補給が第一!こまめな水分補給を心がけましょう
- のどが乾いたときにはすでに脱水が始まっているため、のどの渇きを感じる前に水分を補給する習慣をつけましょう
- とくに高齢者はのどの渇きを感じにくくなっているので、1~2時間に1回と時間を決めるなどして、定期的に水分補給をしましょう
- 睡眠中と起床後は水分不足になりやすいため、就寝前と起床後はコップ1杯ほどの水分を補給しましょう
- 緑茶などカフェインの入った飲み物は利尿作用によって逆に水分を排出してしまうため、飲むのは水や白湯、麦茶などがおすすめです
- ビールなどのアルコールも利尿作用があるため、飲酒後は必ず水分を補給しましょう
エアコンの効いた部屋は乾燥に注意!
- 冷房の効いた室内は意外なほど乾燥しており、少しずつ体内の水分が奪われていくため、気づかないうちに脱水状態になるケースがあることを意識しましょう
- そのうえで、室内にいるときでもこまめな水分補給を習慣づけましょう
- 夏風邪などによる下痢も脱水の原因になるため、下痢のときも水分補給に気を配りましょう
生活習慣病や肥満の改善を!
- 肉の脂身などの動物性脂肪は血液をドロドロにしやすくするので控えるなど、食生活を改善しましょう
- 水分補給に加えて、適度な運動も日課にして生活習慣病や肥満の改善に努めましょう
- 風通しの良い素材やデザイン、しめつけない着心地など、衣服選びの工夫を
- 過度な飲酒は控え、喫煙者は禁煙・減煙を心がけましょう

脳梗塞の発症の前触れとして「一過性脳虚血発作」が起こることが知られています。一過性脳虚血発作とは、脳の一部の血流が一時的に悪くなることで起こる半身の運動まひなどの症状です。
脳梗塞は発症から時間が経つほど、半身のまひや言語障害などの後遺症が残りやすくなるため、つぎのような症状が出たらできるだけ早く医療機関を受診しましょう。
こんな症状が出たら脳梗塞の前触れかも
- 片側の手足や顔に、まひ・しびれが起こる
- ろれつが回らなくなる
- 言葉が出なくなる
- 片方の目が見えにくくなる
これらの症状は、数分から、長くても24時間以内に完全に消えてしまうため、少し休んだら治まったからと油断せずに医療機関を受診してください。また、こうした症状は一過性脳虚血発作ではない場合でも起こることがありますが、念のため、必ず医療機関を受診してください。
脳梗塞は、発症から治療までの時間がとても重要で、発症から4時間半以内に血栓を溶かす治療を行うなどの処置で後遺症が軽減する可能性もあります。少しでも異常を感じたら、すぐに当院へご連絡ください。
脳梗塞の症状や予防法についてくわしく紹介された、こちらのページもご覧ください。
最新の病院からのお知らせ
- 2025/9/1 水分不足になりやすい季節は、脳梗塞にもご注意を
- 2025/8/1 夏風邪や食中毒… 夏場に流行しやすい感染症にご注意を
- 2025/7/28 お盆期間中の診療案内
- 2025/7/1 水虫の悩みは皮膚科医へ。梅雨時期の予防策も忘れずに
- 2025/6/1 STOP熱中症! 体調と空調管理に気をつけて、熱中症を予防しましょう