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夏風邪や食中毒… 夏場に流行しやすい感染症にご注意を

インフルエンザやノロウイルスなど、空気が乾燥する冬場に流行しやすい感染症が存在する一方、気温や湿度が上がる夏場に流行しやすい感染症もあります。その代表格は、食中毒といわゆる夏風邪です。
全ての感染症の発生には、「感染源」「感染経路」「感受性のある人(感染を受ける可能性のある人)」という3つの要素が必要となります。したがって、この3つのつながりを断つ感染予防の三原則を心がけることが感染症予防にとても大切です。

感染予防の三原則
  • 感染源を除去する
    感染源とは、感染症の原因となる細菌やウイルスなどを持っている人や物、細菌やウイルスなどに汚染された器具や食品などを指します。
    家庭や職場などに細菌やウイルスを持ち込まない・増やさないために、定期的な清掃や消毒によって清潔な環境保持を心がけるほか、感染症の発病者の早期発見・早期治療ができるよう努めましょう
  • 感染経路を遮断する
    感染経路には、接触感染、飛沫感染、空気感染、血液媒介感染などがあります。うがいや手洗い、マスクの着用、ドアノブや便座の消毒など、コロナ禍を思い出して基本的な感染症対策を改めて心がけましょう
  • 抵抗力を高める
    感受性のある人とは、感染を受ける可能性のある人の事であり、高齢者や乳幼児、基礎疾患をもつ人など、抵抗力や体力の弱い人はとくに注意が必要です。抵抗力をつけるためには、十分な栄養・睡眠をとることや適度な運動習慣をつけること、予防接種を受けることなどが重要です

 

夏場に発生しやすい細菌性食中毒

高温多湿になる梅雨から夏場にかけては、細菌性の食中毒が発生しやすい時期です。
食中毒菌は温度、水分、栄養の3つの要素が揃うことで増殖し、中でも温度は35℃程度が最適な条件となるため、気温が高い夏場は食中毒菌が増殖しやすくなります。

 

腸管出血性大腸菌O157
  • おもに加熱の不十分な食材から感染し、極めて少数の菌でも感染症・食中毒を起こすうえに重症化しやすく、非常におそろしい食中毒です
  • 牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染によってあらゆる食品が原因となる可能性があります。(これまでに井戸水、牛レバー、焼肉、ユッケ、サラダ、和え物、浅漬けなどで集団感染が確認されています)
  • 予防するために、生野菜などはよく洗う、食肉は中心部まで十分加熱(75.1℃以上)する、調理や食事の前には石鹸で手洗いするなどを徹底しましょう
サルモネラ食中毒
  • 動物の腸管、河川、下水などに広く分布しているサルモネラ属菌に汚染された生肉や食肉調理品などを食べることにより感染し、6月~10月頃に多く発生します
  • レバ刺しやたたきなどのような生肉や、鶏肉の調理品、うなぎなどが感染源となることが多く、近年ではサルモネラの一種であるエンテリティディスに汚染された鶏卵による食中毒も増えています。(生卵、オムレツ、玉子焼き、自家製マヨネーズなど鶏卵を原料とし、十分に加熱されていない食品にも注意が必要)
  • 予防するために、食肉や卵などを取り扱った手や調理器具は使う度に必ずしっかりと洗浄すること、食品の中心部まで十分に加熱調理すること、食材は早めに消費することなどを心がけましょう
腸炎ビブリオ食中毒
  • おもに海水中に生息する細菌である腸炎ビブリオで汚染された魚介類などを生食することで感染し、海水温が20℃以上になると海水中で大量に増殖するため7月~9月の夏場が発生のピークです
  • 魚介類の刺身や寿司などが代表的な原因食品です。また、生の魚介類を調理した調理器具や手指などを介して二次汚染された食品にも注意が必要なため、魚介類に使用した調理器具はしっかり洗浄・消毒しましょう
  • 腸炎ビブリオは真水の中や低温下では増殖できないため、魚介類は調理前に流水(水道水)でしっかりと洗い流し、生の魚介類は僅かな時間でも冷蔵庫に保存する習慣をつけましょう

サルモネラ菌
 
食中毒

 

このほか、黄色ブドウ球菌やウェルシュ菌による食中毒やカンピロバクター症も夏場に流行しやすい食中毒です。
食中毒を引き起こす細菌はさまざまなので個別に対策をとる必要がありますが、多くの食中毒菌への基本的な予防策として、以下の3つを心がけましょう。

食中毒予防の三原則
  • 調理や食事の前後の手洗いと、調理器具の洗浄・消毒を徹底する
  • 生鮮食品や惣菜・弁当などは、常温での持ち運び時間を減らし、できるだけ早く冷蔵庫に入れる
  • 調理時に75度で1分以上加熱して中心部まで火を通すことを心がける

 

また、咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎(はやり目)など、学校や保育施設等でしばしば集団感染を起こす感染症をはじめ、手足口病やヘルパンギーナなど、いわゆる「夏風邪」と呼ばれるウイルス性の感染症は、その名の通り夏場に発生・流行しやすいという特徴があります。
食中毒と夏風邪、ともに基本的な感染症対策を心がけるとともに、体調管理に気をつけることが予防のポイントです。多くの感染症は早期発見と対策が大切なので、体調不良や異変を感じた場合はお早めに当院へご相談ください。

 

夏場に流行しやすい感染症についてくわしく紹介された、こちらのページもご覧ください。

夏場に流行しやすい感染症|家庭の感染予防対策アイテム

 

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